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「過去の外部監査で指摘された点の改善状況について」への回答

市教委への質問

昨年12月9日に,仙台市教委へメールで質問をしました。


以下が送ったメール。実際は本名で出しましたが「ぐるり」に変えています。他は原文のママ。

仙台市教育委員会事務局総務企画部総務課御担当者様
Cc:仙台市広聴統計課広聴相談係御担当者様


青葉区に住むぐるりと申します。


平成21年度 包括外部監査の結果報告書 概要版
https://www.city.sendai.jp/kansa-somu/shise/reki/kansa/documents/kekka6_2101_summary.pdf
あるいは
https://web.archive.org/web/20160810074431/http://www.city.sendai.jp/kansa/kansa/kekka6_2101_12.html


「7.私費会計(2)受託事務の不備」(概要版7ページ)で


現状の問題点<受託業務の文書化>各団体から受託された業務の範囲が文書等により明確に定められていない。受託者である学校側の管理責任の範囲が不明確なまま受託業務を行うことは、あいまいな業務処理を生む原因ともなりうるため不適切である。
解決の方向性
関連団体の業務や財産管理は本来当該団体が行うことであるとの認識を踏まえ、学校が受託業務を行う根拠とその範囲を文書にて明確にする。


と指摘されておりますが、その後仙台市立学校(以下「学校」)での改善状況を確認するため、次の項目についてお伺いします。また、個人情報の保護に関する法律(以下個人情報保護法)が本年5月に改正施行されたことに伴い、5000人分以下の小規模な個人情報を取り扱う事業者も件数に関係なく個人情報保護法で定める個人情報取扱事業者としての義務が課せられることになりました。すなわち、学校に深く関係を持って活動を行っているPTA等も個人情報保護法を遵守して活動する義務が既に生じています。そこで学校の仙台市個人情報保護条例の遵守状況およびそれに関係の深いPTAの個人情報保護法の遵守状況についてもお伺いします。


(1)学校の種類(小・中・高・その他)ごと・区ごとの総数および校名一覧
(2)(1)のうち、関係団体(PTA等)の経理事務等を代行している学校の数および校名(種類ごと)
(3)(2)のうち、業務を受託する際に、指摘の通り適切に文書を取り交わし、内容を明確にしている学校の数および校名(種類ごと)
(4)(1)のうち、調査に応じなかった学校の数および校名(種類ごと)
(5)(1)のうち、改善されていない学校について、改善に関する計画の有無、ある場合はその概要
(6)(1)のうち、個人情報を保護者等から集める際に、PTA等の外部団体に対して取得した情報を提供する旨を適切に誤解の余地無くかつ必要な範囲を明確に提供者に文書で通知し、同意を得た上で集め、現に提供している学校の数および校名(種類ごと)
(7)(1)のうち、個人情報を保護者等から集める際に、PTA等の外部団体に対して取得した情報を提供する旨を提供者に通知せずに集め、現に提供している学校の数および校名(種類ごと)
(8)(1)に関係するPTAのうち、保護者等が会員になるにあたり、消費者契約法 第二章 消費者契約に定めるところによる「適法な勧誘」を行い、入会届等を保護者等に提出させて会員となる旨の個別の契約を適法に結んでいるPTAの数および名称(学校の種類ごと)
(9)(1)に関係するPTAのうち、上記(8)における「適法な勧誘」が無く、「学校からの配布物」と「PTAからの配布物」を混同するように配布した上でPTAへの提出書類が学校への提出書類であるかのように誤解させるような配布方法で入会届等を保護者に提出させているPTAの数(学校の種類ごと)
(10)(1)に関係するPTAのうち、保護者等が会員になるにあたり、「保護者=PTA会員」などと勝手に定めて本人に確認を行わずに「会員である」などしているPTAの数および名称(学校の種類ごと)


以上10件については数が多く調査に時間がかかると思いますので、まずは回答可能な期限をお知らせください。年度をまたぐと人事異動等で御担当者が変わってしまうおそれもありますので、年度内には御回答いただけると大変嬉しいです。


ネット上では「PTAは学校外部の団体であり、そのあり方について市教委や市は口出しできない」という言い訳が散見されますが、こと法令(個人情報保護法や消費者契約法だけではなく他の法令についても、です)に関する件については、これを遵守して活動するのは当然の義務でありますから、違法な活動を行っていることがわかった場合は、適法な状態になるように要求あるいは指導し、改善されない場合は学校施設の使用許可を取り消すなど強い措置も必要と考えますが、仙台市としてはどうお考えでしょうか。これについても併せて回答をお願いいたします。


以上、よろしくお願いいたします。

市教委への質問に対する回答

これに対して2018/2/20に回答が届きました。以下全文(別紙は学校のリストなので省略)。

あなた 様

 このたびいただきました標記のメールに関しまして、つぎのとおり回答いたします。ご不明な点につきましては,下記までお問い合わせください。

 (1)について
    別紙のとおり

 (2)~(5)について
    学校納付金のうち団体費の取扱いについて、平成21年度の包括外部監査において「受託業務の内容を明確に書面にしておくことは想定外のトラブル防止にもつながる」との意見をいただきました。
当該意見は、地方自治法第252条の38第2項に基づき、組織及び運営の合理化に資するため、監査の結果に関する報告に添えて提出される「意見」であり、同法第252条の37第5に基づく「指摘」とは異なり、改善措置を講じる義務を負うものではありませんが、学校納付金の適切な取扱いを行っていくうえでの貴重な意見であり、各学校におきましても、当該意見を踏まえながら学校納付金の取扱いにあたっているものと認識しております。
なお、当該意見に関する各種団体費の取扱いについて、全校を対象として調査することにつきましては、各学校及び教育委員会事務局の各担当部署における事務負担量と比較考慮し、現時点では考えておりません。

 (6)・(7)について
学校において集めた個人情報を,外部団体等に提供することは行っておりません。

 (8)について
    保護者とPTAとの関係は基本的に消費者契約であるとの見解もございますが、一方で、「契約」と位置付けられるかどうかは司法判断によるほかないとの見解もあるところと認識しております。
    PTA総会などの場で呼びかけながら、保護者の皆様のご協力を頂戴しているところとは存じますが、消費者契約法に則った流れにより組織されているPTAの有無については把握しておりません。

 (9)について
    それぞれ「学校からの配付物」は発信者が「学校長」であり、「PTAからの配付物」は発信者が「PTA会長」となっているものと認識しております。
    誤解を生じさせるような方法での資料の配付については、このような発信者の区別により回避できているところと考えられますが、方法の如何を問わず、入会届等の提出を求めているPTAの有無についての情報は把握していないところでございます。

 (10)について
    会員・非会員の別についてでございますが、協力が難しい方に対しましては、各PTAがそれぞれに対応を図られているものと考えております。
    PTAの定義として、「保護者及び教員からなる組織である」との内容を何らかの形で伝えているPTAは多くあるものと考えられますが、「PTA加入は義務」との説明をしているPTAがあるという情報は把握しておりません。

 (その他)違法な活動を行っていることがわかった場合は、適法な状態になるように要求あるいは指導し、改善されない場合は学校施設の使用許可を取り消すなど強い措置も必要と考えますが、仙台市としてはどうお考えでしょうか。
ご指摘のように明らかに違法な活動をしていると判断できる場合については、是正を求めることも必要であろうと考えております。

  (1)~(5) 担当:総務課企画調整係   (電話:214-8857)
      担当:学事課教具係     (電話:214-8862)
  (6)~(7) 担当:教育指導課情報化推進係(電話:214-8421)
  (8)以降   担当:生涯学習課生涯学習係 (電話:214-8887)

※ 仙台市においては,個人情報保護の観点から電子メールで回答する場合,個人情報を除いた文書とすることとしております。お名前をあなた様とさせていただいておりますのでご了承願います。

回答に関する個人的な見解とか感想とか

全学校に対する調査についてはあんまり期待していなかったと言うかたぶんやらないだろうなと思ってましたがやはりやってもらえませんでした。個人的に個別に質問するしかないですね。で,たぶん今回の回答で一番重要なのは(6)(7)です。

学校において集めた個人情報を,外部団体等に提供することは行っておりません。

「条件付きで提供します」でも「同意を得て提供します」でも「PTAには提供してます」でもなく,「行っておりません」です。言い切りです。従って,少なくとも仙台市立の学校においては学校が集めた個人情報をPTAを含む外部団体に提供されたのがわかった時点でアウトです。これは「T会員としての教職員が学校の名簿を利用してPTA活動をする」のもアウトだということです。たとえば,「クラス名簿を使って『PTAの役員/委員を引き受けて貰えませんか』とT会員としての担任教諭がお願いの電話をする」のも提供(学校からT会員への提供)に当たります。教員としてやるのは?勤務時間内なら職務専念義務違反でアウト。時間外なら教員じゃないのでアウト。いずれにしろアウトですね。
「校納金の引き落とし口座のデータを利用してPTA会費も一緒に引き落とした」は微妙なところです。学校がPTAから業務を委託されて学校の仕事としてPTA会費を集めることは否定されていないのです。少なくとも仙台市では。PTAから会員リストの提供を受け,その会員の口座から会費を集めるのは可能です。もちろんその場合は,「PTAが」「会費を集めるために学校に情報を提供すること」について,「会員から事前に同意を取っておくこと」が必要です。会員と口座の名義が違う時はどうするんでしょうね。お母さんが会員だけど引き落とし口座はお父さんとかその逆とか普通にありそうですけど。
そして番外。

明らかに違法な活動をしていると判断できる場合については、是正を求めることも必要であろうと考えております。

「明らかに違法な活動」でたぶん一番簡単にPTAの違法性を指摘できそうなのは個人情報保護法です。上記の通り,学校からは提供が無いことが明言されていますので,学校からPTAへ名簿や電話番号などが提供されていたことがわかれば,学校は個人情報保護条例違反,PTAは個人情報保護法違反となり,直接是正を求めるか市教委に是正させるように求めることが可能です。通報・立件されれば「明らかに違法な活動」になりますので是正要求も捗ります。
「求めることも必要であろうと考えております」と若干弱気なのが気になるところですが,「社会教育法で『国及び地方公共団体は、社会教育関係団体に対し、いかなる方法によつても、不当に統制的支配を及ぼし、又はその事業に干渉を加えてはならない。』って定められてるから,社会教育団体のPTAに対して教育委員会は指導出来ませーん!」なんて言い訳して逃げる教育委員会よりは1兆倍マシだと思います。GJ。
このブログエントリの内容は無保証ですが,書いてあること(特に回答の内容)は全て実際の回答です。